うつ症状とポリヴェーガル理論

#うつ症状 #自律神経 #ポリヴェーガル理論
うつ症状(鬱病)はあなたを守っているメカニズム

世界情勢はこの数年大きな変化に見舞われ、新型コロナ、ウクライナ情勢、エネルギー問題から値上げラッシュなど、ストレスの多い日々が続いているので、日頃自分の精神的な面をケアしていない人も少し見直す機会にしてみてはいかがでしょうか。

今日は前回に引き続きうつ病(鬱病)で悩んでいる方に朗報の神経論「ポリヴェーガル理論」をご紹介します。

「ポリヴェーガル理論」は、うつ(鬱)は生命維持のための体の防衛反応だとしています。

ポリヴェーガル理論を知ると、うつ病(鬱病)に対する認識が変わるだけでなく、心と精神を健康に保つためのヒントになり、うつ症状(鬱症状)の改善に役立て、自分をもっと深く理解できることでしょう。

他のサイトで詳しい医学的な理論が掲載されていますので、こちらではより簡単かつ実践的な面に焦点を当ててポリヴェーガル理論を伝えます。
*当方はバーバラ・ブレナンヒーリングの認定サロンで、体や心の不調に寄り添い改善をサポートしますが、神経系および医学的な学びはしていないこと、ポリヴェーガル理論についても英語で学んだために間違った解釈をしているかもしれません。
間違いがあればお許しくださいませ。

ポリヴェーガル理論は、1994年に神経生理学者であるスティーブン・ポージェスによって提唱されました。

自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあると習いましたが、ポージェスは副交感神経をさらに二つに分類しました。
副交換神経には、交感神経が極度になった場合に働く原始的な機能と、進化によって発達した社会的な機能があると言うのです。
それぞれの働きを知るとストレスや心配・うつ症状(鬱症状)の改善に役立ちます。
とくにうつ症状(鬱症状)は病気ではなく、自然な防衛反応だと捉えて、アメリカではトラウマセラピーに応用する専門家が増えています。

ポリヴェーガル理論と自律神経

ポリヴェーガル理論が発表される前は、人の自律神経系は交感神経と副交感神経の2つに分かれていると考えられていました。

交感神経が優位になっている時には、興奮モードです。戦うか逃げるかの状態は過度に交感神経が刺激されています。

逃げるか戦うかと言うと大げさに聞こえるかもしれませんね。

しかし、この状態は当人がストレス下になると事の大小にかかわらず頻繁に起こります。

人が信じられない、ミスをしてしまった、批判的になる、イライラし機嫌の悪い一日がある、そのようなときには闘争逃避反応が刺激されています。


反対に何も考えられなかったり意識が散漫な不注意な日があったりすると副交感神経が働いていると思うかもしれませんね。

このように交換神経が刺激されていない時はリラックスモードの副交感神経だと思われがちですが、それほど単純ではないようです。

リラックスしていないけど、意識がボーっとした日が数日あるいは数か月続いた経験はありませんか?

ポリヴェーガル理論はその状態は決してリラックスしているわけでなく、危機的状況だと判断したために、副交感神経系の生命を守る原始的な側面が働いているからだと説明します。

副交感神経の働きとうつ症状

副交感神経は交感神経の活動に対してバランスをとっていますが、リラックしている時に働くだけではありません。

ポリヴェーガル理論では、副交感神経には2種類あり、そのうちの一つ、原始的な神経系が働いていると、不安や心配からぼんやりする、心や体が動けない、うつ症状(鬱症状)のような停滞や活気のなさ、凍てつき、不動になってしまうと言います。

副交感神経のもう一つは、社会的コミュニケーションや自己鎮静行動によってストレスを回避する仕組みを持っています。

もう少し詳しく説明しましょう!

まず副交感神経系の一つは、以前から知られている緊張のない状態です。

こちらは感情的にも開かれ同時に肩に力が入っていない生命力がありながら心が平和な状態です。
これは腹側迷走神経枝の働きだとしています。

もう一つは、外見上一見リラックスしているように見えますが、活気がありません。
あなたにも経験があるのではないでしょうか?

リラックスしているように見えても生き生きとしていない停滞している状態で、心や体が動けない、うつ症状(鬱症状)を示します。

こちらは背側迷走神経枝の働きです。

交感神経が過度に働いている状態からさらにストレスが強くなると生命を守るためにこの神経枝が心や体を動けなくします。

敵から襲われ逃げることも戦うことも出来ない時動物では死んだふりをしますが、これは背側迷走神経が働いている状態です。
学校に通うのが嫌だ、仕事に行きたくない。そんなときに逃げることも出来ず戦うことも出来ない状況を乗り越えるために、背側迷走神経が刺激されシャットダウンが起きます。

感情もエネルギーも動かないように体が調整し、この症状から抜け出せないときにはうつ状態(鬱状態)のような様相を呈する場合もあります。

ポリヴェーガル理論では、背側迷走神経は、迷走神経の2つの枝の原初もので、爬虫類など原始的な動物で生存するために必要だった神経系だとしています。

かたや腹側迷走神経枝はあとから進化したもので、社会的な関りを持つことでストレスを軽減することが可能であると言います。

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不安や怖れ、心配な時の自律神経システム

人が脅威に直面したとき、ポリヴェーガル理論では自律神経システムを3つの構成要素で説明します。

脅威を感じると、原始から発達した神経系の進化の順で優位になるとされています。

1.安心感を持っているとき

安心しているとき(リラックスした状態)は副交感神経系の腹側迷走神経枝が働いている状態です。

これは、哺乳類に特有のもので、社会性を保ったまま、安心感や人生をコントロールしていると感じるときに活動します。対処できる程度のストレスや問題があると、言葉・表情や声で社会的な関りを通じてストレスになっている事柄を軽減しようとすることにも使われます。

話をして落ち着くときには腹側迷走神経が働き調整しているからです。

私たちは声のトーンや顔の表情などで脅威にさらされないように社会性を保つために調整しストレスを軽減します。

あなたの大切な方や部下、生徒、クライアントの悩みをサポートする場合、論理的な説得はかえって防衛反応を強めてしまいます。
相手に必要なのは安心感です。

相手が攻撃的だったり、逃げ腰だったりするなら、交感神経が優位になっているためです。

内に引きこもってしまっているようなら副交感神経の背側迷走神経が働いていて手も足もでないと神経系が判断したもので、どちらも生理的な現象で、問題や置かれている状況に相応しくないかもしれません。

相手の生理的な防衛を緩めるには、声のトーンをやさしくする、ゆっくり話す、顔の表情を穏やかにする工夫をして相手が話せる雰囲気をつくりましょう。

2.危険を感じたとき

1の社会性を保てないほど脅威を感じた時は交感神経が作動し、闘争・逃走反応を示します。
戦うか逃げるかにエネルギーが使われるようにホルモンの変化や体の反応が起こります。
パニックは交換神経が優位になっています。

3.脅威が最も強いとき

交換神経の闘争・逃走で脅威を軽減できない時には神経系は副交感神経の背側迷走神経枝の不動化が起こります。
シャットダウン・動けない・体位が保てない・服従する・うつ症状のような状態になります。
痛みを感じさせないように身を守ることができるのもこの背側迷走神経のおかげです。

防衛反応が起きるときには複数の神経系が働くため、2と3の両方が活性化されることもあり明確に分離しているわけではありません。

うつ症状の新しい捉え方とポリヴェーガル理論

ポリヴェーガル理論では、迷走神経は進化によって異なるストレス反応を起こし、より原始的な副交感神経は不動化行動を誘発し、より進化した副交換神経が社会的コミュニケーションや自己鎮静行動でストレス回避を行っているとされています。

社会的コミュニケーションや自己鎮静行動ができない場合に、闘争逃避反応、或いは最も原始的なシステムが活性化されるという階層構造を持っているためうつ症状が現れるのです。
これは、生き延びる戦略で、身体が私たちを救おうとして起きる素晴らしい生理的なメカニズムだと捉えるとうつ病(鬱病)に対する根本的な考え方が変わるのではないでしょうか。

うつ病(鬱病)を精神論で考えてしまうと生命が持つ身体反応を無視する「絵に描いた餅」のようなもの。
フリーズや内にこもってしまう状態が続いているなら、安心を感じられる社会的コミュニケーションによるサポートが大切です。

相手を変えようとしないこと、防衛反応を呼び起こす態度や会話をしないこと、リラックスすることで過去の思い出がよみがえりトラウマ反応を起こす人もいるため、無理をしない範囲で心が休まることを見つけてみましょう!

セラピーを受ける

コロナが世界的蔓延しマイナスの面が多い中、海外の世界的に有名な人のセラピーやスピリチュアルリーダ達の最新のイベントやサミットがほぼ毎日のように動画で見る事ができ、この2年間で私も新しい発見や不安や恐怖を軽減するスキル、精神と肉体に関する科学的実証がある方法などを学ぶ機会が増えました。
その中でも軽度~PSTDなどのような非常に深刻な症状の回復に一躍買っているのが、今回のポリヴェーガル理論です。
精神や病気に脳や神経系が深く関係している事、そしてソマティックと呼ばれる体に焦点を当てるセラピーもよく見られるようになっています。

カウンセリング=傾聴だと思われるかもしれませんが、肉体の記憶が癒しを拒否している場合、頭では安全だと分かっていても、怖さや不安がぬぐい切れないため、いつまでたっても苦しい日々を過ごす方もおられます。
カウンセリングは傾聴だけでなく、体の反応に意識的になることで自分の状態を変え、マインドフルネスを磨き感情のバランスを取る方法を訓練していきます。

ソマティックやポリヴェーガル理論などを取り入れた当サロンのセラピーを一度体験してみませんか。
お気軽にお申込みください。

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