【執筆】Yayoi(サロン「みか月と三ツ星」主宰)
不安や生きづらさを抱える方へ、16年間エネルギーヒーリングと心理・神経系のワークを提供しています。(兵庫県たつの市 / 全国オンライン対応)
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「SNSで見かけるあの人はあんなに輝いているのに、どうして私は……」
「職場の同僚や友人と比べて、自分のダメなところが気になってつらい」
そんな風に、どうしても他人と自分を比較して落ち込んでしまうことってありますよね。
「人と比べるな」
私の父は生前、よくこのように言っていました。ですが、本当に人と比べないことなんてできるのでしょうか?
人と比べなければ、誰かを羨むこともなければ、劣等感に苦しむことも少なくなるはずです。
「分かっているのに、つい比べてしまう……」
そんな風に自分を責める必要はないのでは、と思う出来事がありました。
それは、人と比べてしまうことを単なる「心のクセ」と考えるだけではなく、生物が生き残り、そして子孫を残していく過程とも関係するものとして捉える、興味深い話を聞いたからです。
なぜ人と比べてしまうの?そこには生物としての仕組みがある
以前、ハーバード・メディカル・スクールで心理学助教授(非常勤)を務めるRon Siegel氏の講座を受ける機会がありました。
その講座で印象に残っているのが、「人と比べてしまう」ということを、生物としての私たちの性質から捉えたお話です。
Siegel氏は、ご自身もいまだに人と比べてがっかりすることがあるそうです。そんなときには、「自分の中にまだ癒されていない何があるのだろう」と、ご自身の内面を見つめていると笑ってお話しされていました。
その正直さに、人間味のあるお人柄が伝わってきて、私の心もじんわりと温かくなったのを覚えています。
教授の講座では、鳥が羽を大きく広げたり、ダンスをしたりして相手を引きつけようとすることや、ゴリラが胸をたたいて自分の強さを示すことなどを例に挙げて説明されていました。
動物の世界では、自分の強さや魅力を示すことで、繁殖相手に選ばれたり、群れの中での順位を示したりする行動があります。
人間が他人と自分を比べたり、自分を少しでもよく見せようとしたりする傾向にも、こうした生物としての仕組みが関係しているのではないか、と感じるようなお話でした。
人と比べてしまうことは、単なる性格のクセではなく、私たちが長い進化の中で身につけてきた、自分が周囲の中でどのような位置にいるのかを確かめる行動とも捉えられます。
実際にSiegel氏は、著書『The Extraordinary Gift of Being Ordinary』の中で、自分自身を評価し、他者と比較する傾向は、かつて生存に役立ったものであり、現在も人間の脳に強く組み込まれていると説明しています。
「人と比べない」という考え方も大切ですが、私たちには、長い進化の中で周囲と自分を比べ、自分を評価する傾向が備わってきました。そう考えると、「また人と比べてしまった」と自分を責める必要は、それほどないのかもしれません。
参考:Ronald D. Siegel, The Extraordinary Gift of Being Ordinary, Chapter 1(Guilford Press)
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「人と比べること」の意外なメリットとは?
実は、人と比べること自体は決して悪いことではありません。
周りの人を参考にすることで、私たちの生活や仕事をよりよくしてくれている面があります。
例えば、他者と比較して真似をすることには、以下のようなメリットがあります。
- 時間やエネルギーの節約: 何度も失敗しながら正解を探す手間を省ける。
- リスクの回避: 先人の行動を参考にすることで、不利益や間違いを避けやすくなる。
- 人間関係の調和: 周りと足並みをそろえることでいざこざを減らし、集団の中で協調しやすくなる。
特に、危険に対する認識がまだ十分ではない子供にとっては、「周りの人と同じように行動すること」が自分自身の安全を守ることに役立っていることも多いでしょう。
このように、人と比べることは生きていく上でとても便利なツールです。しかし、便利であるがゆえに、「比較のクセ」のデメリットにはなかなか気づきにくいもの。
知らず知らずのうちに心が傷つく思考のクセが根を張り、自分を苦しめてしまわないよう、ここからはデメリットについても知り、上手にストレスを回避していきましょう。
人と比べることは、なぜこんなに苦しくなるの?
比較が劣等感につながる理由
ここまで、人と比べることには、周りの人を参考にしたり、自分に足りないものを知ったりする面があることをお話ししました。
では、なぜ私たちは、人と比べることでこんなにも落ち込んだり、劣等感を抱いたりするのでしょうか?
ひとつには、比較した結果を「自分の価値」まで結びつけてしまうことがあります。
- 「あの人のほうが仕事ができる」
- 「友達のほうが人から好かれている」
- 「自分には、あの人のような才能がない」
本来なら、これは「自分と相手には違いがある」という情報にすぎません。
ところが、そこから「だから私は劣っている」「私はダメな人間だ」と、自分自身の価値まで否定するようになると、比較はとても苦しいものになってしまいます。
比較は、自分から始まるとは限らない
そして、もう一つ知っておきたいのは、私たちは必ずしも自分から人と比べているわけではないということです。
子どもの頃から、親や先生など周囲の大人に「○○ちゃんはできるのに」「もっと頑張りなさい」と言われたり、成績や評価を通して他の人と比べられたりすることがあります。
まだ自分自身を客観的に見ることが難しい子どもにとって、身近な大人から繰り返し受け取る評価は、自分がどんな人間なのかを知るための大きな手がかりになります。
そのため、「今はこれができない」という一時的な状態が、いつの間にか「私はできない子」という自分自身への評価に変わってしまうことがあります。
私自身にも、そんな経験があります。
私の場合は、「自分はできない子」という感覚が残った
私は「早生まれ」だったため、同じ学年の友達とは最大で1歳近く年齢の差がありました。
もちろん、小さい頃の私は、そんな年齢差のことなど知りませんでした。
ただ、周りの子たちは自分より大きく、きびきびしていて、何でもできるように見えました。そんな中で、小学校1年生の時の成績表に「この子は一人ではできない」という趣旨のことが書かれていたのを覚えています。
その成績表を見た母は、きっと大きなショックを受けたのだと思います。「他の子はできるのに、なぜうちの子は……」という思いから、私ができないことを克服できるようにと、しつけも厳しくなっていきました。
けれど、できるようにするための母の働きかけは、当時の私にとっては「できない自分」を何度も意識させられることでもありました。
周りの子たちとの違いも重なり、いつの間にか「自分は何をやっても周りのようにできない」という感覚が強くなっていったのだと思います。
その環境の中で、私は少しずつ「どうせ私はダメなんだ」という自己否定や劣等感を心の奥深くに染みつかせていったのかもしれません。
今振り返ってみると、母は、成績表の内容に非常に焦ったのだと思います。けれど、当時の私には、それが理解できなかったので、「できない自分を指摘されている」という感覚のほうが強く残りました。
かといって、人生は劣等感ばかりではありません。できたことや、褒められて自信になったこともありました。
そんな中で大きな転機になったのは、中学1年の時でした。
ほんの小さなきっかけでしたが、「私は決して、周りより劣っているわけではないんだ」と、やっと心から思えるようになったのを今でもよく覚えています。
ただ、その経験だけですべてが変わったわけではありません。幼い頃に身についた「自分はできない」という感覚は、その後もさまざまな場面で形を変えながら顔を出しました。
それでも、あの経験をきっかけに少しずつ自分の世界が広がり、以前の自分なら避けていたことにも、粘り強く取り組めるようになっていきました。
「自信のない自分」もいるけれど、「忍耐強く取り組むことも人生には必要だと知っている自分」もいる。今の私は、その両方を抱えながら、自分なりのバランスを保つように心がけています。
そして、時には諦めずにやり抜く姿勢も、やはり周りの素敵な人たちから学んだことです。
人と比べることで自分を痛めつけてしまう時期もありましたが、「人を見て、自分に足りないところを学ぶ」ということを繰り返してきたからこそ、今の私があるのだと感じています。
つまり、人と比べることそのものが悪いのではありません。
「相手との違い」を、自分の価値を決めるものとして受け取ってしまうと、比較は苦しさに変わってしまうのです。
関連記事:人と比べて「自分には何もない」と感じる方へ
もし、周りの人を見て「自分には何もない」と感じてしまうなら、欠けているものではなく、自分には何ができるのかという視点から見直してみるのも一つの方法です。自分では当たり前だと思っていることの中に、強みが隠れていることもあります。
自分の強みが分からないときの見つけ方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
人と比べて苦しい時にすぐできる「心身の緊張をゆるめる5つのワーク」
他人と自分を比較して悩みを深く抱え込んでしまう前に、「体のサイン」に気づいて早めにケアしてあげることが大切です。
心がざわついた時、私たちの身体にも緊張が表れることがあります。
まずは、あなたの身体に以下のようなサインが出ていないかチェックしてみましょう。
- 息が浅くなっている
- 急に体温が上がったり下がったりする感じがする
- 肩がガチガチに硬直している
- 足の力が抜けるような感覚がある
- みぞおちに痛みや嫌な感じがする
- あごに力が入っている(無意識の噛みしめ)
このような心や身体からのサインを感じたら、その場で自分でできる次の5つの動作を試してみてください。
私のセッションでは、心の状態だけでなく、身体にどんな反応が起きているのかにも目を向けています。ここでは、普段のセッションにも取り入れている身体へのアプローチの中から、日常でも試しやすいものをご紹介します。
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姿勢をチェックして、いったん状態をリセットする:
肩を丸めていたり、後ろに重心を置いていたら、背筋をすっと伸ばして前後左右の中心線を意識して立ちます。姿勢や視線を変えることで、今までとは違う身体の感覚をつくり、今の状態をいったんリセットしやすくなります。
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「深呼吸」をする:
呼吸をできる限りゆっくりと吸い込み、吸ったときよりも「もっともっとゆっくり」と時間をかけて息を吐き出します。ゆっくりと息を吐く呼吸は、副交感神経が働きやすい状態につながることが期待できる呼吸法の一つです。
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意識的にあくびをする:
わざと大きなあくびをすることで、顔まわりや頭の緊張をゆるめます。あくびが出ることは、緊張がゆるんでいるときにも見られる身体の反応の一つです。意識的にあくびをすることで、顔まわりや頭の緊張に気づき、力を抜くきっかけにしてみましょう。
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手を上げて伸びのストレッチ:
意識しながらぐーっと両手を上に上げ、体を気持ちよく伸ばします。身体を伸ばすことで、こわばっていた筋肉をゆるめたり、気持ちを切り替えたりするきっかけになります。
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手足をブルブルと震わせる:
可能であれば、その場で手足をブルブルと小刻みに震わせ、身体に入っている力みを外へ逃がすような感覚で動かします。身体の緊張をゆるめる動作の一つとして取り入れられる方法です。
無理にリラックスしようとしなくても大丈夫です
ここで紹介する方法は、緊張を無理に消すためのものではありません。そのときの自分の状態に気づき、姿勢や呼吸、視線などを少し変えてみるための方法です。やってみて不快になった場合は、無理に続けず中止してください。
この5つは、すべて同じ目的で行うものではありません。姿勢を変えて今の状態をリセットするもの、呼吸によって身体の状態に働きかけるもの、あくびやストレッチ、身体を動かすことで緊張をゆるめるものなど、それぞれ少しずつ役割が違います。
人と比べて気持ちが落ち込んだとき、頭の中だけで何とかしようとせず、身体から少し働きかけてみるのも一つの方法です。無理なくできそうなものから試してみてくださいね。
最初はすぐに変化を実感できないこともあります。無理に効果を出そうとせず、自分に合う方法を無理のない範囲でやってみましょう。
関連記事:他人との比較ではなく、自分自身を知りたい方へ
自分らしさをもう少し深く知りたい方には、思考・感情・行動・価値観など、さまざまな視点から自分の強みを言語化する方法も紹介しています。
まとめ:「比べない自分」を目指さなくてもいい
「人と比べるな」と言われても、本能的に備わっている仕組みであるのなら、完全にゼロにするのは難しいものです。
大切なのは、比べて落ち込んだ時に自分を責めず、傷ついた心や身体の緊張を優しくケアしてあげることです。
もし、「一人ではどうしてもマイナス思考のループから抜け出せない」「長年の劣等感や心身のイライラについて、一人では整理しきれない」と感じるときは、どうぞ当サロンを頼ってくださいね。
サロン「みか月と三ツ星」では、心の中にある思いや身体の感覚にも目を向けながら、今抱えている悩みを一緒に整理していくマンツーマンのセッションを行っています。
当サロンの対人支援は医療行為ではありませんので、強い不安や抑うつ状態などが続いている場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合には、医療機関への相談を優先してください。

