抜毛癖に悩むあなたへ:その行動には理由があります【子ども・大人共通】
髪を抜いてしまう癖に悩んでいませんか?
「やめたいのにやめられない」「子どもが髪を抜いていて心配」—そんな声をよく聞きます。
この記事では、抜毛癖の原因や心理的背景、集中時にも出る理由、実践的な代替行為(EFTタッピング応用・身体ワークなど)、そして親や本人が自分を責めずにできる対処法をわかりやすく紹介します。
抜毛癖・抜毛症とは?原因と特徴
抜毛癖(ばつもうへき)は、無意識に髪の毛を抜いてしまう行動のことです。医学的には「抜毛症(トリコチロマニア)」と呼ばれ、子どもから大人まで幅広く見られます。
- 集中しているときに抜いてしまう
- 不安や緊張を感じると抜いてしまう
- 抜いた後に安心感やスッキリ感がある
このような特徴がある場合、単なる癖ではなく「心のサイン」であることもあります。
抜毛癖の原因:子どもと大人で違う心理背景
抜毛癖の根底には「安心感を求める心の動き」がありますが、年齢によって理由や対応が少し異なります。
【子どもの抜毛癖】原因と心理的背景
- 環境の変化(入園・転校・家庭の変化)
- 親の注意を引きたい・構ってほしい気持ち
- 言葉で表現できないストレスや不安

【大人の抜毛癖】原因と心理的背景
- 仕事や人間関係などのストレス
- 過去のトラウマや我慢の積み重ね
- 完璧主義・自己否定・焦りの感情
どちらも「外の世界をコントロールできないときに、自分の体を通じて安心を取り戻そうとする」無意識の反応です。
抜毛癖と爪噛みの違い:不安を和らげる自己安定行動
爪を噛む、肌をかく、髪を抜くなどの行動は、いずれも「不安を和らげるための自己安定行動」です。どの行動を選ぶかは個人の感覚や習慣によります。
- 爪を噛む:口元の刺激で安心感を得る
- 髪を抜く:指先の感覚や抜ける瞬間の達成感で落ち着く
- 肌をかく:体の感覚を通して気持ちを整える

集中時にも抜毛癖が出る理由【科学的・心理的な説明】
「不安のときに出る」は直感的に理解しやすいですが、集中時に出る理由も科学的・心理的に説明できます。主な理由は次の3つです。
1. 無意識の緊張調整(リラックス行動)
集中は脳の注意資源を強めるため、身体の一部に緊張が生じます。爪や髪を触ることで、その緊張を無意識にやわらげようとする反応が起きます。つまり「集中=軽い緊張」に対する自己調整です。
2. 感覚刺激の欲求(sensory need)
集中中でも「手を動かしていないと落ち着かない」タイプの人は、無意識に指先や髪で感覚刺激を得て集中を持続させようとします。ペンをいじるのと同じような役割です。
3. 習慣記憶の自動再生(条件反射)
一度癖が習慣化すると、脳の自動的な経路に記憶され、特定の状況(集中、退屈、不安など)で自動的にスイッチが入ります。本人の意識がなくても出てしまうのはこのためです。
抜毛癖の治し方・対処法:代替行為と心のケア
「やめる」ことをゴールにするより、「別の安心行動を増やす」ことが続けやすく効果的です。行動の置き換えと心のケアを組み合わせましょう。
- 抜きたくなる場面や時間帯を記録し、きっかけを把握する(セルフモニタリング)
- 手元にストレスボール、ハンカチ、糸通しおもちゃなど代替物を用意する
- 髪を結ぶ、短くする、帽子をかぶるなど「抜きにくい環境」を作る
- ハビットリバーサル法(習慣逆転法)を取り入れ、代替行動を習慣化する
- インナーチャイルドケアや認知行動的アプローチで気持ちに寄り添う


抜毛癖の改善に役立つ身体ワーク(EFTタッピング・簡単代替行為)
EFTタッピングの応用(デコルテを軽くたたく)
鎖骨の下のくぼみ(デコルテ付近)を指の腹で軽くトントンとたたきます。呼吸を整えながら数回行うと、身体の緊張が和らぎやすくなります。強くたたかず、やさしいリズムで行ってください。
手を上げてブルブル振る(緊張を外へ逃がす)
腕を上げて、肩から大きく脱力させながら両手をブルブル振ります。数秒間力を入れてから、一気に脱力して振ることで、体内の緊張を外に放出する感覚が得られます。
胸の前で左右の掌を押し合ってから脱力するワーク
胸の前で両掌を向かい合わせ、軽く力を入れて押し合います(5〜10秒)。その後一気に力を抜いて手を離し、深呼吸を数回行います。短い緊張と解放を繰り返すことで、身体的なリセット効果が得られます。
心を癒すケア:インナーチャイルドへの声かけ
抜毛癖は「安心したい」「わかってほしい」という気持ちの表れかもしれません。自分を責めず、内側にいる小さな自分に優しく声をかけてみましょう。
セルフケアの簡単なステップ
- 静かな場所で目を閉じ、抜きたくなる気持ちを観察する
- その気持ちに「こんにちは」と声をかける
- 「何を守ろうとしているの?」と問いかける(答えがなくても可)
- 深呼吸をして、代替行為を一つ試してみる(例:デコルテをたたく)
親としてできるサポート(子ども向け)
子どもの抜毛を見たとき、つい注意したくなりますが、叱るよりも安心感を増やす関わりが効果的です。
- 「どうして抜きたくなったのかな?」と優しく問いかける
- スキンシップ(ハグ・手を握る・マッサージ)を増やす
- 深呼吸やお風呂でリラックスする時間を一緒に作る
- 代替行為(ハンカチ・ストレスボール・デコルテたたき・掌を押し合って脱力など)を一緒に試す
- 「抜かずに過ごせたね」とできたことを認める
※最新の心理学・脳科学の見地から
「抜かずに過ごせたね」という言葉が安心感につながる場合もありますが、抜毛行動を意識させてしまうケースもあります。
そのため、落ち着いている時は「集中してたね」「安心して過ごせたね」など、行動よりも安心・成長・集中を褒めることが推奨されています。
親が穏やかでいることが、子どもにとって最大の安心材料です。親子でボディタッチを増やすことで、お互いの緊張がゆるみやすくなります。
専門家に相談すべきサイン
- 抜毛による皮膚の損傷や脱毛が目立つ場合
- 抜毛行為が日常生活に支障をきたしている場合(学業・仕事・対人関係など)
- 抜毛以外にも強迫的な行動(自傷・皮膚むしりなど)がある場合
- 本人や家族が感情のコントロールに困難を感じている場合
そのような場合は、精神科・心療内科・臨床心理士など専門家への相談を検討してください。
よくある質問(Q&A)
Q. 抜毛癖は病気ですか?
A. 抜毛癖は、軽い場合は一時的な癖として見られることもありますが、強いストレスや不安が続くことで、髪を抜く行為が「心を落ち着かせるための習慣」になっているケースもあります。
このようなケースでは、医学的に「抜毛症(トリコチロマニア)」と呼ばれ、心身の緊張や安心感のバランスが関係しているとされています。
気になる場合や長く続く場合は、医師や専門家に相談してみましょう。早めに相談することで、心の負担を軽くしやすくなります。
Q. 抜毛癖は何科に相談すればいいですか?
A. 精神科・心療内科・臨床心理士などが対応可能です。症状が強い場合は、医療機関への相談をおすすめします。
Q. 子どもの抜毛癖は自然に治りますか?
A. 軽度の場合は環境の安定や親の関わりで改善することもありますが、長期化する場合は専門家の支援が有効です。
Q. 抜毛癖をやめさせる方法はありますか?
A. 「やめさせる」よりも「代替行為で安心感を作る」ことが効果的です。ハビットリバーサル法や身体ワークなどを取り入れると改善しやすくなります。
Q. 抜毛癖と爪噛みは似ていますか?
A. どちらも「自己安定行動」と呼ばれ、不安や緊張を和らげるために行われることがあります。感覚刺激の種類が異なるだけで、心理的な背景は似ています。
まとめ
- 抜毛癖は、心の緊張を整えるための無意識的な行動であることが多い
- 集中時に出るのは「軽い緊張の自己調整」や「感覚刺激の欲求」が原因になるため
- 「やめさせる」よりも「代替行為で安心を作る」ことが続けやすい
- EFTタッピング応用や身体ワークは即効性のある代替行為になる
- 親の穏やかさとスキンシップが、子どもの安心を育む強い力になる
あなたや大切な人が、少しずつ安心を取り戻せますように。焦らず、優しく、自分をいたわる時間を増やしていきましょう。
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