「もっと心を強くしたい」
嫌なことがあったとき、人間関係で傷ついたとき、失敗したとき。そんなときに落ち込んだり、不安になったりすると、「自分はメンタルが弱いのではないか」「もっと強くならなければ」と思うことがあります。
けれども、心を強くするとは、何があっても傷つかない人になることなのでしょうか。
私は、そうではないと考えています。
心が強い人でも、悲しくなることがあります。悔しくなることもあれば、人間関係に傷つくこともあります。
大切なのは、感情が動かないことではなく、感情が動いたときにも自分を見失わず、自分に必要な行動を選べることではないでしょうか。
この記事では、私自身の経験も交えながら、心を強くするための7つの方法について紹介します。
この記事で分かること
- 「心が強い」とは、感情をなくすことではなく、自分の状態を理解しながら行動できることだという考え方
- ネガティブな思考が生まれる理由と、その扱い方(ネガティビティ・バイアスなど)
- 心の土台を整えるための7つの具体的な方法(思考・身体・環境・人間関係など)
- 頑張り続ける強さだけでなく、休む・回復する強さの重要性
- 「分かっているのにできない」と感じるときに、自分を責めず原因を理解するための視点
- 心のつらさが強いときに、鍛える以外の選択肢や専門家への相談が必要になる場合
【執筆】Yayoi(サロン「みか月と三ツ星」主宰)
不安や生きづらさを抱える方へ、エネルギーヒーリングや心理・神経系のワークを通じて、心身を整えるサポートを行っています。(兵庫県たつの市 / 全国オンライン対応)
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私自身が「心を強くしたい」と思っていた頃
何か嫌なことがあったとき、人間関係がつらいとき、孤独感に襲われたとき、毎日が虚しいと感じたとき。
大勢の前で発表したり、自分の意見を言ったりするときの緊張する瞬間。
私はそんな場面に出会うたびに、「自分はメンタルが弱いから、こんなに傷つき、小さなことでも緊張する。もっと心を鍛えなければ」と何度も感じていたのを覚えています。
けれど、いくらきつい出来事を何度も経験しても、感情的になる。反対に、感情がなくなってしまったように、何も感じられないまま淡々と日常をこなしている。そんな時期がありました。
その経験から、心の強さとは「感情が動かないこと」ではなく、「感情が動いたときに自分を見失わないこと」だと気づくようになりました。
今では、感情的になった自分を責めるのではなく、「なぜ私はこんなに反応しているのだろう?」と自分の状態を理解し、自分をなだめることが少しずつできるようになりました。
つらい時期があっても、落ち込むことがあっても、その中に笑える時間がある。そして、また日常に戻っていける。
そんな柔軟な自分になったことで、私は、メンタルトレーニングは運動のようにただ心を鍛えて強くすることではないのだと理解するようになりました。
感情をなくすのではなく、感情を理解する。無理に強がるのではなく、自分を支える方法を身につける。
そのような積み重ねも、心の強さにつながっていくのだと思います。
心が強いとはどういうこと?
「心が強い」とは、何を意味するのでしょうか。
私は、心の強さを「感情・意志・思考のバランスをある程度保ちながら、自分や人生への信頼を持って、自分なりの選択ができること」だと考えています。
感情を無視して理性的に振る舞えばいいわけでもありません。反対に、感情のままに行動すればいいわけでもありません。
たとえば、人間関係で嫌なことを言われたとします。
「悲しい」「腹が立つ」という感情が湧くのは自然なことです。
そこから、
「私は今、傷ついている」
「なぜこんなに腹が立ったのだろう」
「本当はどうしたいのだろう」
「今、自分にできることは何だろう」
と、自分の内側を確認していくことができます。
そして、必要なら距離を置く、相手に伝える、誰かに相談するなど、自分にとって必要な行動を選んでいく。
このように、感情・思考・意志を切り離して考えるのではなく、自分の内側にあるものを把握しながら行動することが、私が考える「心の強さ」です。
心の強さと「強がり」は違う
心が強いことと、強がることは似ているようで違います。
強がっているときには、「弱いところを見せたくない」「失敗を認めたくない」「人に負けたくない」など、自分を守ろうとする気持ちが働いていることがあります。
つらくても「大丈夫」と言い続けたり、助けを求められなかった経験はないでしょうか。
一方、本当の意味での心の強さには、「今はつらい」と認めることや、人に助けを求めることも含まれます。
傷つかないことを目指すのではなく、傷ついた自分を支え、そこから回復していく。
私は、そんな「しなやかな強さ」を育てていくことが大切だと考えています。
まずは、自分の内面にある強さを探してみる
心を強くしたいと思ったとき、新しいトレーニングを始める前にやってほしいことがあります。
それは、「自分がこれまで、どうやって困難を乗り越えてきたのか」を振り返ることです。
これまでの人生で、つらかったことや大変だったことをいくつか思い出してみてください。
- 人間関係で悩んだ時期
- 仕事や学校で苦労した時期
- 大きな失敗をした経験
- 環境が大きく変化したとき
- 孤独を感じた時期
- 自分ではどうにもならないと思った出来事
そして、そのとき自分はどうやって乗り越えたのかを書いてみます。
誰かに相談したのでしょうか。
一人でじっくり考えたのでしょうか。
環境を変えたのでしょうか。
時間が解決してくれたのでしょうか。
あるいは、ただ毎日を一日ずつ過ごしているうちに、いつの間にか乗り越えていたのかもしれません。
どんな方法でも構いません。
「私は何もできなかった」と思っている時期にも、実は何かをしながら、その時期を乗り越えてきた自分がいる。
そのことに気づくこと自体が、自分への信頼を育てるきっかけになります。
心の強さを考えるとき、「もっと自信を持たなければ」と考える方もいるかもしれません。しかし、本当に育てたいのは、いつでも自信満々でいられることではなく、うまくいかない時にも自分を見捨てず、自分なりに選択していける「自分への信頼」が大切なのだと感じます。
「もっと自信がほしい」と感じる理由は人によって異なります。自信について改めて考えてみたい方は、「自信をつける必要はある?『もっと自信がほしい』と感じる本当の理由」も参考にしてください。
心を強くする7つの方法(メンタルトレーニング)
ここからは、日常生活でできる7つの方法を紹介します。
すべてを一度に実践する必要はありません。「これならできそう」と思うものを一つ選んでみてください。
1.ネガティブな考えを無理に消そうとしない
心を強くするというと、「いつもポジティブに考えられるようになること」だと思うかもしれません。
しかし、ネガティブな考えが浮かぶこと自体は、人間にとって不自然なことではありません。
心理学では、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向けやすい傾向が「ネガティビティ・バイアス」として研究されています。
ここで大切なのは、ネガティブな考えが浮かぶこと自体を「悪いこと」と考えないことです。
危険や問題に気づくことは、生きていくうえで役立つ働きでもあるからです。
そのため、ネガティブな考えが浮かんだときには、無理に消そうとするよりも、まず気づいてみましょう。
「また失敗するかもしれない」と考えている。
「嫌われたかもしれない」と不安になっている。
「自分はダメだ」と自分を責めている。
このように、「私は今、こう考えている」と一歩引いて見てみることが最初のトレーニングになります。
そして、その考えが本当に事実なのか、それとも不安から生まれた予測なのかを考えてみます。
ネガティブな情報が強く影響しやすいことについて
心理学では、ネガティブな情報がポジティブな情報より強く心理的な影響を持つ傾向について、「ネガティビティ・バイアス」などの観点から研究されています。
Rozin & Royzman(2001)は、ネガティビティ・バイアスや、悪い情報が良い情報より強く影響する「ネガティビティ・ドミナンス」について整理しています。
また、Baumeisterら(2001)も、「Bad Is Stronger Than Good(悪いことは良いことより強い)」という観点から、否定的な出来事の影響が肯定的な出来事より強くなりやすいことを検討しています。
2.身体を動かして心の土台を整える
心を強くする方法というと、頭の中で考え方を変えることばかりに目が向きます。
しかし、心と身体は切り離して考えることができません。
散歩、ストレッチ、軽い筋トレなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れることも、心身の健康を支える方法の一つです。
ここで大切なのは、苦しい運動を自分に課すことではありません。
「身体を動かした後、少し気分が違う」と感じられる程度から始めるくらいで十分です。
運動について詳しく知りたい場合は、運動とメンタルヘルスを扱った専門的な情報も参考にしてください。
3.マインドフルネスで「今」に戻る
過去の嫌な出来事を何度も思い出したり、まだ起きていない未来を心配したりしていると、頭の中で不安がどんどん膨らむことがあります。
そんなときに役立つ方法の一つが、マインドフルネスです。
マインドフルネスでは、呼吸や身体感覚、周囲の音など、今この瞬間に起きていることへ注意を向けます。
「何も考えないようにする」のではありません。
考えが浮かんできたことに気づいたら、もう一度、呼吸や身体の感覚へ注意を戻します。
たとえば1分だけ、
「息を吸っている」
「息を吐いている」
「肩に力が入っている」
と、今の身体の感覚を観察してみるだけでも構いません。
ただし、人によっては身体感覚や自分の内側に注意を向けることで、かえってつらさが強くなる場合もあります。そのときは無理に続けず、目を開けて周囲を見るなど、自分が安心できる方法に切り替えてください。
考えや感情に飲み込まれたときに、今の自分へ戻ってくる練習として取り入れてみましょう。
4.自分を支える環境をつくる
私たちは、自分で意識している以上に、周囲の情報や環境から影響を受けています。
心理学では、先に提示された刺激や情報が、その後の認知や行動に影響を与える現象の一つとしてプライミング効果が研究されています。
ただし、アファメーションやビジョンボードを部屋に飾って毎日目にしていても、効果を感じない人もいます。プライミング効果を考えても、それだけで必ず自己肯定感が高まる、といった単純な話ではありません。
ここでは、もっとシンプルに、自分がどんなことに日々触れているのかを意識してみることをおすすめします。
たとえば朝から、SNSで他人と自分を比較してしまう情報ばかり見ていないでしょうか。
反対に、自分が大切にしたいことを思い出せる言葉や写真、本、音楽などを一日の始まりに取り入れることもできます。
「私はどうありたいのか」を思い出せる環境を、自分のためにつくってみましょう。
5.安心できる人とのつながりを持つ
心を強くするというと、「何でも一人で乗り越えられるようになること」だと思うかもしれません。
でも、人は一人だけで生きているわけではありません。
つらいときに話を聞いてくれる人、安心して自分を出せる人、必要なときに助けてくれる人とのつながりは、心の支えになります。
そして、助けを求めることは弱さではありません。
「今は一人では抱えきれない」と気づき、人の力を借りることも、自分を守るための大切な力です。
反対に、人と一緒にいることがいつも心の支えになるとは限りません。
無理に付き合いを増やすのではなく、自分が安心していられる関係を大切にすることを考えてみましょう。
6.自分を表現し、安心できる範囲を少しずつ広げる
「本当は嫌なのに断れない」
「自分の意見を言えない」
「やりたいことがあっても、人からどう思われるか気になる」
このような場合、自分を表現することそのものが、心を強くする練習になることがあります。
いきなり大きな自己主張をする必要はありません。
たとえば、
- 「今日はこれが食べたい」と伝える
- 自分の好き嫌いを一つ伝える
- 小さなお願いをしてみる
- 興味のあることを人に話してみる
- 断りたいときに一度立ち止まって考える
このような小さな経験から始めます。
「自分を表現しても大丈夫だった」という経験が積み重なることで、自分の行動範囲が少しずつ広がっていくことがあります。
心を強くするとは、いきなり大きなことに挑戦することではありません。
今の自分にとって少しだけ勇気が必要なことを試してみる。その繰り返しでもいいのです。
7.自分を責めるのではなく、自分を理解する
最後に、私が特に大切だと考えているのが「自分への接し方」です。
何かうまくいかないことがあると、
「どうして私はこんなこともできないのだろう」
「もっと頑張らなければ」
「こんなことで傷つく自分は弱い」
と、自分を責めてしまうことがあります。
しかし、自分を責めるだけでは、その反応がなぜ起きているのかを理解できません。
そんなときは、少しだけ質問を変えてみます。
「なぜ私はこんなに反応しているのだろう?」
「何を怖れているのだろう?」
「本当はどうしてほしかったのだろう?」
「今の自分には何が必要なのだろう?」
自分を責めることから、自分を理解することへ。
それだけでも、自分との関係は少し変わっていきます。
特に、完璧にできない自分を許せない、失敗すると自分を激しく責めてしまうという場合には、単純な「ポジティブ思考」だけでは苦しさが変わりにくいことがあります。
そのような方は、完璧主義の心理や、自分を責めてしまう背景について詳しく扱った記事も参考にしてください。
「心を強くする」と「心を鍛え続ける」は違う
ここまで7つの方法を紹介しましたが、すべてを頑張って実践する必要はありません。
むしろ、「心を強くしなければ」と頑張りすぎることで、さらに自分へ厳しくなってしまうことがあります。
心の強さには、前へ進むための強さだけでなく、回復するための強さもあります。
挑戦することも大切です。
けれど、疲れているときには休むことも必要です。
自分の意見を伝えることも大切です。
けれど、今は話せないと感じたときに距離を置くことも自分を守る選択です。
何でも自分一人で解決する必要もありません。
頑張ることと休むこと、前へ進むことと立ち止まること。その両方を選べる柔軟さも、心の強さの一部なのではないでしょうか。
心の強さを育てるために知っておきたいこと
「分かっているのにできない」のは、意志が弱いから?
「ポジティブに考えた方がいい」
「運動した方がいい」
「もっと自信を持った方がいい」
頭では分かっているのに、なかなかできないことがあります。
それは、意志が弱いからとは限りません。
私たちの行動には、これまでの経験や習慣、置かれている環境、感情、身体の状態など、さまざまな要素が関係しています。
だから、「分かっているのにできない自分はダメだ」と、さらに自分を責める必要はありません。
できないときには、
「どうすればもっと頑張れるか」ではなく、「なぜ今はできないのか」
と考えてみることも大切です。
それだけで、自分に合った方法が見つかることがあります。
新しい習慣は2か月で身につく?
「新しい習慣は21日で身につく」「2か月続ければ習慣になる」といった話を聞いたことがあるかもしれません。
実際には、習慣が身につくまでの期間には大きな個人差があります。
University College London(UCL)の研究者らによる2010年の研究では、新しい行動が自動的に行われるようになるまでの過程が調べられました。
その研究では、行動が自動化されるまでの期間には18日から254日という大きな幅があり、平均値は約66日でした。
つまり、「2か月続ければ必ず習慣になる」という意味ではありません。
むしろ重要なのは、自分に無理のない行動を繰り返すことです。
数週間やって変化が感じられなくても、「自分には向いていない」とすぐに判断する必要はありません。
小さく始めて、続けられる形に調整していきましょう。
習慣形成についての研究
Lallyら(2010)の研究では、新しい行動が自動化されるまでの期間には大きな個人差があり、18日から254日まで幅がありました。平均値は約66日でした。
このため、「習慣化には最低2か月かかる」と一律に考えるより、個人差を前提に継続することが大切です。
それでも心がつらいときは、「鍛える」以外の方法もある
心を強くするための方法を紹介してきましたが、すべての悩みがメンタルトレーニングだけで解決するわけではありません。
過去の出来事を思い出すと強い不安や恐怖が出る、身体が強く緊張する、同じような反応を繰り返してしまうなど、つらさが強い場合には、無理に自分を鍛えようとしないことも大切です。
「もっと強くならなければ」と思っているときほど、実は自分を責めるのをやめたり、安心できる環境をつくったり、誰かに相談したりすることが必要な場合もあります。
強い不安や抑うつなどが続いている場合には、医療機関や心理職などの専門家に相談することも検討してください。
自分で何とかすることだけが「強さ」ではありません。
まとめ|心を強くするとは、自分を信頼できるようになること
心を強くするというと、何があっても動じない人になることだと思いがちです。
でも、本当の意味での心の強さは、感情をなくすことでも、弱音を吐かないことでもありません。
感情を感じながら、自分の状態を理解する。
自分の考えに気づき、自分の意思を確認する。
必要なら休み、誰かの力を借りる。
そして、自分にできる小さな一歩を選ぶ。
そんな経験を重ねることで、少しずつ「私は大丈夫」「何かあっても自分なりに対処できる」という自分への信頼が育っていくのだと思います。
心を強くするために、最初から強い人になる必要はありません。
今の自分を理解しながら、自分に合った方法で少しずつ心の土台を育てていきましょう。
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心を強くしようとすると、「自信が持てない」「自分の価値を低く感じてしまう」「完璧にできないと自分を責めてしまう」など、自分自身との関係についてふと浮かぶことがあります。
そうした悩みは、単に「もっと強くなればいい」と考えるだけでは解決しないことがあります。このサイトでは、それぞれのテーマについて詳しく解説しています。
当サロンで行っているサポートについて
心を強くしたいと思うとき、「もっと頑張らなければ」「弱い自分を変えなければ」と感じてしまうことがあります。私自身も同じように自分を追い込んでいた時期がありました。だからこそ今は、自分を責める強さではなく、自分を理解しながら心を整えていくことを大切にしています。
当サロン「みか月と三ツ星」では、心理・神経系のワークやエネルギーヒーリングを通じて、「自分の反応の理由が分かる」「無理のない整え方が見つかる」そんなプロセスを一緒に作っていきます。
不安、生きづらさ、自分への厳しさ、感情の揺れなどを丁寧に整理しながら、自分に合ったペースで心の土台を整えていきたい方は、気軽にご相談ください。
なお、当サロンで行っているヒーリングやカウンセリングは医療行為ではありません。強い心身の不調が続く場合には、医療機関など専門家への相談を優先してください。
参考文献・研究
- Rozin, P. & Royzman, E. B. (2001). Negativity Bias, Negativity Dominance, and Contagion. Personality and Social Psychology Review.
- Baumeister, R. F., Bratslavsky, E., Finkenauer, C., & Vohs, K. D. (2001). Bad Is Stronger Than Good. Review of General Psychology.
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009.
※この記事は、心理学等の研究や筆者自身の経験を参考に、心を強くするための考え方や方法を紹介したものです。特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。

